1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜

朝目が覚めると隣にはすやすやと眠る竜基さんがいた。
ホッとすると同時にモヤモヤする。

あんな時間から急用って、竜基ぃ〜竜基ぃ〜と甘ったるくしつこかったあの人と会っていたんだろうか？マンションだって知っていたし。

もしかしてあの人が人妻で竜基さんの禁断の本命恋人ってことなんだろうか。

なんか、もう寝よう。

今日は起きない。どうせ、マナー講座の時間まで時間があるし、一緒にごはんもたべたくない。

寝たふりをしていると竜基さんが起きておはようと挨拶をしたが、無視をした。

金曜日は特別な日だった。
こんな風に一緒に住む前からの私の楽しみだったのに。
勝手に終了して。
私に何かを言うのはおかしいってわかってるけどでも悔しい。

しばらくすると竜基さんがベッドルームに入ってきて起こそうとした。

「調子が悪いのでいらないし、いってらっしゃい」

そう言うと布団の中に潜り込んだ。

子供みたいだと思う。だけど、私だって頭にくる。

「分かった」

竜基さんが出て行ったのを確認してから身支度をして部屋をでる。
マナー講座の帰りに久しぶりにウィンドウショッピングを楽しんだ。
こんな風に街を歩くのは久しぶりだ。
ふとウィンドウに映った自分を見る。洗練された服に化粧をした自分が映った。

外見だけよくしても、マナーをいくら習っても中身は子供だ。
この姿とひきかえに仮の恋人という人形になると決めたんだから。
バイトに行く前に一旦部屋に戻って作ってくれた朝食をちゃんと食べよう。
急いでマンションに帰って、着替えをしてから竜基さんが作っておいてくれた朝食を食べようとした時、チャイムが鳴った。

インターフォンを見ると“あの”女性だ。

仕方なく応対すると「あなた誰？なんでいるのよ。竜基は？てか、開けなさいよ」

どう見ても、竜基さんの知り合いだ。
ドアを開けるとおもいきりドアを引き開けるとズカズカと部屋に入ってくる。

「竜基は？」

「仕事だと思います』

「てか、あなた誰？」

どうしよう、この人が本命の人だとして私が恋人だと伝えたらきっと拗れてしまう。

答えに窮していると

「ああ、あなた家政婦さんね。もういいわ、帰って頂戴」

「あの、でも」

「私が帰っていいって言っているの。それとも覗きの趣味でもあるの？家政婦のミタ？」

「すいません。失礼します」

やっぱり昨日の女性だ。

雰囲気が乃乃みたい。竜基さんはこんな感じの人が好きなのかも。着ているものも持っているバッグも一流品でハリボテの私とは違う。

悔しくて涙が出てきた。