スパダリ部長に愛されてます
お昼前におなかが空いてきて、さすがにベッドから出る。
彼がシャワーを浴びたあと、私もさっとシャワーを浴びる。
賢二さんの部屋着を借りて、リビングに向かうと、良い匂いがあふれていた。

振り返った賢二さんが一瞬戸惑った顔をする。
「やっぱりブカブカで。」
袖も裾も折りたたんで、なんとか手足が出ている状態だ。

「コーヒーとトースト、スクランブルエッグに焼いたウィンナー。
おれと一緒で良いかな。」
「もちろんです。
嬉しい!いただきます!」

ダイニングテーブルに向かい合って座る。
「このパンって、パン屋塩見さんじゃないです?」
「そうそう、だいたいここのパンだな。」
「えー、私もですよ。
同じ行動範囲なのに、今まで会わなかったのが不思議ですね。」
「ほんとだな、
でも、これからはずっと一緒だな。」
ゆるやかにおろされた前髪から優しく微笑まれ、恥ずかしくてうつむいてしまった。

「あの、お付き合いしてることなんですが。」
「え、やめたいの?」
焦ったように賢二さんが身を乗り出す。
「いえいえ、そうじゃないですよ。」
そんなこと私からは絶対に言わない。
「社内ではまだしばらく内緒にしていただけますか。」と提案する。
賢二さんがしばらく不満そうな顔をする。
「本当なら、大きな声で言いたいんだけどな。」
「いや、それは私もなんですけど、でも、もう少し。
いや、私も隠せないから、すぐにバレそうな気はしてるんですが。」
「あー、横田には三日でバレてたしな。」
「え、早い!そっか、横田さん。」
先日、会社の前で助けてもらったことを思い出す。
「うん、橘も知ってるかもって。」
「えーーー。
明日から、どんな顔して会社に行けばいいんでしょう。」
両手で顔を挟み、下を向く。
「うーん、まぁとりあえずは今まで通りということで。
ただ、そのうち公表するから。」
真剣な顔で賢二さんに宣言される。
うなずき、幸せをかみしめる。
公にする時が来るといいな。

そんな話をしながら、食事を楽しむ。
賢二さんとは、他愛もない会話もすべて楽しい。

その後は、リビングで2人でヨガをしたり、映画を見たり、いちゃいちゃして、
のんびりとした日曜日を過ごした。
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