Restart~あなたが好きだから~
「なんで?」


「さっき沙耶も言ったじゃない。そう、私は大和への想いをずっと拗らせて来たんだもん。ここまで拗らせて来た思いをそんな簡単に解きほぐして、投げ捨てたり出来るわけないじゃん。」


そう言って、七瀬はため息を吐く。


「七瀬・・・。」


「もしどうしても今、私にどちらかを選べって言われたら、やっぱり大和を選ぶと思う。」


その七瀬の言葉を聞いて


「だったら、大和くんにすぐに告白すればいいじゃない。」


沙耶は言うが


「それはまだ早過ぎる。」


七瀬は首を振る。


「なんで?」


「大和の中には、まだ佐倉さんがいる。懸命に忘れようと、心の中から追い出そうとしてるけど、まだ時間が掛かる。そんなの当たり前、佐倉さんへの想いが真剣なら、本気なら、まして振られた立場である大和がそんな簡単に割り切れるわけがないんだよ。そしてそんな葛藤をしている時に、私が告白したって、大和は絶対にその気持ちを受け入れることはしない、大和って、そういう奴、それは私が一番よくわかってることなんだよ。」


「じゃ、待つの?大和くんが、佐倉さんを完全に忘れるまで。それっていつまで掛かるの?これ、何度も言ったかもしれないけど、私の経験上、失った恋を忘れる方法は1つしかない。それは新しい恋をすること、それだけ。」


「・・・。」


「大和くんが佐倉さんを忘れるのを待つんじゃない、七瀬が大和くんに彼女を忘れさせてあげるんだよ。」


声を励ます沙耶に


「沙耶はそう言うけど、私は大和を忘れられなかった。新しい恋で、大和への思いを上書きすることなんか出来なかった。ううん、したいとも思わなかった。大和が、少なくとも今の大和が、佐倉さんを忘れる為に、私の思いを受け入れてくれるとは、どうしても思えない。むしろ、今こんな時期にそんなことを言って来るなんてって、大和に軽蔑されちゃうかもしれない。そしたら今度こそ、もう取り返しがつかないじゃない。」


七瀬は言い張る。


「なんで、そんなに自信ないの?現に今は大和くんの方から七瀬に連絡来てるんでしょ?彼の方が今、自分を求めてるんだって思えないの?」


「自信なんてあるわけないでしょ。だって生まれてからずっと一緒にいたのに、私は大和に恋愛対象として見てもらえなかったんだよ!」


そう言って、自分を見つめる七瀬に、沙耶は1つため息を吐く。


「でもいつまでもグズグズしてたら、副社長さんも後輩の御令嬢に取られちゃうかもよ。」


気を取り直したように沙耶は忠告するが


「それは・・・仕方ないよ。」


と答えた七瀬に、沙耶はまた1つため息を吐いた。
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