Restart~あなたが好きだから~
藤堂七瀬と柊木大和は、同じ年に生まれ、家がお隣さんという、まさしく「幼なじみ」というべき間柄。幼い頃からずっと一緒に過ごし、彼らから4年後に生まれた七瀬の弟の章を含めて三きょうだいのように育った。


幼稚園から始まり、小学校、中学校と七瀬と大和はずっと一緒。朝は必ず一緒に登校して、下校はお互い長じるにつれて、いつも一緒というわけではなくなったが、それでもなにもなければ、当然のように一緒に帰った。


クラスも不思議なくらい、同じになることが多かった2人は、一緒にいる時間も長く、小学校も高学年になると、冷やかされたり、付き合ってるのかと聞かれることも増えて来たが


「生まれた時からずっと一緒だから、それが当たり前なんだよね。」


七瀬も大和もそう口を揃えていた。自分たちが一緒にいることが、なんで周囲からいろいろ言われたり、好奇の目で見られるのかが不思議だった。


迎えた高校受験は、これまではほぼ自動的に同じ道を歩んで来た2人にとって、初めての選択の機会だったが、2人は当たり前のように同じ高校に進む道を選んだ。


そして始まった高校生活。バトミントン部に入り、友だちにも恵まれて、賑やかな学校生活を送る七瀬に対して、帰宅部となった大和は、クラスにもあまり馴染むことなく、ほどなく陰キャ認定されてしまう。そんな対照的な2人だったが、クラスはまた同じになり、その関係性には変化はなく、朝は相変わらず一緒に登校。教室でもごく自然に会話を交わしていたし、休日には一緒に出掛けることもあった。


「七瀬は柊木と付き合ってるの?」


「あんな陰キャのどこがいいの?」


そんなことを聞かれると


「別に付き合ってるわけじゃないけど、ずっと一緒にいる腐れ縁だし、それに私まで大和を見捨てたら、あの子、いよいよボッチになっちゃって、可哀想じゃん。」


七瀬はそう言って笑った。


やがて2年生になり、また同じクラスになった2人。華やかな七瀬と地味な大和。周囲から見れば、不釣り合いな、でも当人たちは、相変わらずごく自然に近しい距離を保っている。そんな関係がこれからも続いて行くと思われたある日のことだった。
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