Restart~あなたが好きだから~
「ところで、彼氏は順調なのか?」


「お陰様で。まだ社会復帰までは少し時間が掛かりそうですが、記憶も戻り、私が退職を思い留まれるくらいには、順調だと思います。ただ・・・残念ながら、大和はまだ彼氏じゃないんで・・・。」


と歯切れの悪いことを言い出す七瀬。


「えっ?まだそんなことを言ってるのか?お前、26歳の花嫁になるんじゃなかったのか?」


揶揄うように圭吾が言うと


「そんな、今更無理に決まってるじゃないですか。私の27歳の誕生日までもう半月もないの知ってるくせに・・・意地悪過ぎます!」


そう言って、膨れる七瀬。


「わかった、わかった。悪かったよ。」


さすがにバツ悪そうに、圭吾が頭を下げる。


「私だって、おふたりを見てれば羨ましいし、大学時代からの親友にラブラブだよ~って惚気られ、理子さんはもうすぐママになるって聞けば、焦りもします。でも、大和はまだ、身体はもちろん、心も一所懸命にリハビリを続けている最中なんです。そんな彼に自分の気持ちを押し付けたくはありません。今の私のやるべきことは、彼に寄り添いながら、見守ってあげること、それだけだと思ってます。だから先を急がず、ゆっくり彼との時間を紡いでいくつもりです。」


そう言った七瀬に


「そうか、七瀬らしいな。」


圭吾は頷いた。


「ありがとうございます。」


七瀬も嬉しそうに笑顔を浮かべた。


「そろそろ行くか。下で2人がお待ちかねだろう。」


時計を見て、圭吾は言う。今日はこれから愛奈と奈穂を交え、七瀬の送別会が行われることになっていた。


「最後まで、お気遣いいただいてありがとうございます。」


「なに、超過勤務代の先払いだよ。」


「えっ?」


「営業部に行っても、当分は田中からのSOS電話攻勢に、付き合ってもらわなきゃならないだろうからな。」


苦笑気味の圭吾の言葉に


「なるほど。それでは今日は遠慮なく、お腹いっぱい食べて、呑ませていただきたいと思います。」


七瀬がいたずらっぽい笑みを浮かべて答える。


「バイキングにしときゃよかったなぁ・・・。」


「ダメです。それは大和が元気になったら、快気祝いで行く約束してるんで。」


「なるほど・・・。」


そして、顔を見合わせて笑った2人は、肩を並べて、オフィスを後にした。



END
< 213 / 213 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:43

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
大学時代、一方的に憧れ続けた人。 もう二度と会えないと思っていた。 それなのに数年後―― 私の前に現れた彼は、まさかの「部下」だった・・・。 でも彼は、私のことを覚えていない・・・。 南澤 和那(みなみさわ かずな) 29歳。 株式会社ネクストリンク勤務。 社内でも一目置かれる敏腕企画営業で、冷静な判断力と行動力を武器に数々の案件を成功へ導く。 大学時代はインカレバンドでキーボードを担当。 「あなたは、私に気づいていない。」 朝比奈 湊(あさひな みなと) 29歳。 元プロミュージシャン。 大学時代は人気バンド『Riot Beat』でボーカル兼ベースを務め、卒業後はプロに転向するも、夢破れ音楽業界を去る。 現在は株式会社ネクストリンクへ転職し、和那の部下となる。 「気づいていなかった。あの人が、すぐそばにいたことに。」
ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~
marumori/著

総文字数/183,744

恋愛(オフィスラブ)178ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
突然、親からお見合いを強要された私は、とっさにウソを吐いた。 「結婚を見据えて、お付き合いしている人がいる」と。 その結果、苦し紛れのウソをマコトに、いやマコトに見せなくてはならなくなり 思い悩んでいた私に、救世主が現れた。 そして始まった偽装同居生活。私のウソから始まったこの関係を いつしか、私はホンモノにしたいと思うようになった。なのに、その思いを告げる寸前で 彼は私の前から姿を消した。 それから時は流れ、私は再び、彼と出会うことになった。 でも彼は言った。 「あの頃の俺は、本当の俺じゃないから。」 結局、何がウソで、何がホンモノなんだろう・・・? 偽りから始まった関係は、ホンモノにはやっぱりならないのかな・・・? --------------------------- 菱見 凪咲(28) (株)AOYAMA 受付嬢・派遣社員 × 新城 裕(28) (株)AOYAMA 業務改善プロジェクトリーダ-・御曹司 -----------------------------
Far away    ~遥かなる想い~
marumori/著

総文字数/351,354

恋愛(純愛)351ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
列車から降り立った私を迎えてくれたのは、降り注ぐ陽がもたらす凄まじい熱気だった。 都会とはまた厳しさが一味違う暑さに、一瞬顔をしかめた私は、でも懐かしさも覚えていた。 改札を出て、かつて通い慣れた勝手知ったる道を歩み始める。 (さすがに昨日のことのよう、とは思えないけど、でもあれから10年経っちゃったとも思えないよね・・・。) そんなことを考えているうちに、やがて見えて来たその場所。そこには、彼がいるはずだった。 かつて、私の姿を見て (天女が舞い降りた・・・。) そんなことを本気で思って、一目ぼれしたというあいつが・・・。 ----------------------------  廣瀬 彩 ×  二階 尚輝 ---------------------------- ☆この作品の登場人物である菅野京香と西川秀の短編物語 「聖なる夜に始まる恋」もよろしければ、是非、ご覧くださいませ。☆  

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop