成瀬課長はヒミツにしたい
「それは人為的なミスって事かい?」

 常務の言葉に真理子はうなずく。

「はい。情報漏洩事件では、よくあるパターンなんです。間違えて非公開情報を、公開フォルダに保存してしまうってことが。ただ実際に外部からアクセスするには、フォルダのURLを知っている必要があるので、かなり限定的だと思いますが……」

「もしそのミスがあったとして、それはシステム側で、足跡が追えるものなのか?」

 成瀬がこめかみに手を当てながら声を出した。

「はい。データをUPすればログは残るので、調べればすぐにわかると思います」


 会話を聞いていた社長が、大きくうなずいて立ち上がった。

「わかった。では、すぐに調査に取りかかろう。まずは新聞社から連絡があった内容が、事実かどうかを確認する」

 社長はそれぞれの顔を見回した。

「まず、真理子ちゃんは、俺のデスクのパソコンを使って調査を進めて。俺は外出が重なるから、柊馬は真理子ちゃんのサポートを」

 真理子と成瀬が静かにうなずく。
< 166 / 413 >

この作品をシェア

pagetop