成瀬課長はヒミツにしたい

不気味な影

 電話を切った成瀬は、緊張した顔つきのまま真理子を振り返る。

「掲示板に“サワイライトの個人情報が名簿業者に流れている”という趣旨の書き込みがあったらしい。たまたまオンラインショップの顧客が書き込みを見つけて、心配で問い合わせしてきたようだ」

「今度は掲示板ですか?!」

「いよいよ、まずいな……」

 成瀬は目元に手を当てると、深く息を吐く。


「さっき、公開フォルダに怪しい点は見つからなかったって言ったよな?」

「はい。確認したのは、この公開フォルダのログです。最近アップされたデータも、WEBサイトに必要なもの以外はありませんでした」

 真理子はパソコンを操作してフォルダを表示させた。


 成瀬は腕を組むと、じっと画面を見つめている。

「外部から閲覧できる可能性があるフォルダは、この公開フォルダ以外にはないのか?」

 成瀬の質問に、真理子は大きく首を横に振る。
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