成瀬課長はヒミツにしたい
 成瀬の顔つきは、バックに流した艶のある黒髪に、細いシルバーのフレームの眼鏡が相まって、色気すら感じる。

 真理子は目の前の成瀬を直視できずに、もじもじとうつむいた。


「昼間の話の続きですが」

 成瀬は、そんな真理子の様子には一切関せず、静かに口を開く。

「単刀直入に言います。水木真理子さん」

「は、はい」

 真理子はドキドキと早くなる脈を感じながら、上目づかいで成瀬を見る。

 成瀬は両手を机の上で組むと、真理子の顔を正面から見据えた。


 そして、ゆっくりと口を開く。

「あなたには、私のパートナーになっていただきたい」

「え……?」

 真理子はぽかんと口を開けると、しばしフリーズしてしまう。

 そして次第に真っ赤になる頬に手を当て、唇を小刻みに震わせた。
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