成瀬課長はヒミツにしたい
「そ、それって……つまり、その……。えぇ?!」

 真理子は、しどろもどろになりながら声を出す。


 ――パートナーって、つまりはそういう意味?


 今にも破裂しそうな心臓を押さえるように、ぎゅっと両手を胸の前で握りながら、もう一度、成瀬の顔を見上げた。


 さっきまで見せていた成瀬の冷たい瞳が、今は妙に熱を帯びて見えるのは、真理子の心境のせいだろうか。

 真理子はたまらずに、身を乗り出して立ちあがった。


「は、はい……! なります。あなたのパートナーに」

 思わず口をついて出た真理子の言葉に、成瀬は一瞬目を開くと、そのまま口元を緩ませながら眼鏡を外した。


 ――王子が……笑った……。


 真理子は初めて目撃した“クール王子の笑顔”の破壊力の大きさに、目眩(めまい)すら感じ身動きできなくなる。
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