成瀬課長はヒミツにしたい
その棚の奥、壁際の一番端に、ひっそりとパソコンが一台設置されていた。
「実は……」
工場長は一旦辺りを確認してから、声をひそめて話を続ける。
「橋本さんには、ほとほと困り果ててたんですよ。こっちに配属されてから、一切工場に関わる仕事はせず、毎日ここに籠ってパソコンばかり。何をしてたんだか……」
工場長は、「はぁ」と深くため息をつく。
「元は本社の営業部長でしょ? 誰も何も言えやしなくて……」
工場長の話を聞きながら、成瀬がなぜ急にここへ来たのかがわかった。
――そうか。橋本部長は、ここに異動になってたんだ……。
その時、工場長が入り口に向かって小さく手を上げた。
「あぁ、田中さん。ちょっと、ちょっと!」
ちょうど入り口の前を通りかかった田中さんが、工場長の声に扉から顔を覗かせた。
「田中さんは、この工場では一番の古株で。ほら、橋本さんの事、聞きたいんだって」
田中さんは工場長の声に渋い顔を見せると、「うーん」と首を振る。
「実は……」
工場長は一旦辺りを確認してから、声をひそめて話を続ける。
「橋本さんには、ほとほと困り果ててたんですよ。こっちに配属されてから、一切工場に関わる仕事はせず、毎日ここに籠ってパソコンばかり。何をしてたんだか……」
工場長は、「はぁ」と深くため息をつく。
「元は本社の営業部長でしょ? 誰も何も言えやしなくて……」
工場長の話を聞きながら、成瀬がなぜ急にここへ来たのかがわかった。
――そうか。橋本部長は、ここに異動になってたんだ……。
その時、工場長が入り口に向かって小さく手を上げた。
「あぁ、田中さん。ちょっと、ちょっと!」
ちょうど入り口の前を通りかかった田中さんが、工場長の声に扉から顔を覗かせた。
「田中さんは、この工場では一番の古株で。ほら、橋本さんの事、聞きたいんだって」
田中さんは工場長の声に渋い顔を見せると、「うーん」と首を振る。