成瀬課長はヒミツにしたい
「お前の、その正義感の強い性格と会社への忠誠心。社員に対するホスピタリティ。率先して動くフットワークの軽さ。そしてその地味……あ、いや。落ち着いた雰囲気」

 成瀬はコホンと咳ばらいをする。

「ん?」

「お前はベストなんだよ。俺のパートナーとして」

「ちょ、ちょっと待って下さい。そのパートナーってどういう……」


 真理子が言いかけた時、いつの間にかそばに来ていた女の子が声を出した。

「とうたん。おなかすいたぁ」

 成瀬は女の子の頭をゆっくりと撫でながら、真理子を振り返る。


「家政婦だよ」

 真理子はキョトンとして首を傾げた。

「カ・セ・イ・フ?」


「そう。俺は、この子の《《家政夫》》なんだ」

 成瀬はほほ笑みながら、女の子の肩を支え真理子に向けさせる。


「は?! か、家政婦(夫)―?!?!」


 真理子は白目をむいて、天井を仰ぐ。


 ――なんてこった……。


 どうやらこれは、とんでもないことに巻き込まれてしまったようだ。
< 24 / 413 >

この作品をシェア

pagetop