成瀬課長はヒミツにしたい
「成瀬くんは、よくわかってると思うんだけど……。社長ってすごく、孤独を感じてる人なんだよね。それは先代との親子関係もあると思うし、奥さんに先立たれた、シングルだっていうのも関係しているかも知れない」

 小宮山は、小さくため息をつく。

「とにかく、いつもあふれるギリギリの、心のタンクを持ってる人なの。それを二人が家政婦に入って、生活や子育てをサポートすることで、今までなんとか保ってきた……」

 真理子は息をのみながら、小宮山の話に耳を傾ける。


「そんな時、心を許して“もっと側で支えて欲しい”と思った水木さんに、振られちゃった。しかも恋のライバルは、親友の成瀬くん」

 小宮山はぴんと人差し指を立てる。

「それで心のタンクがあふれちゃったわけ。そうしたら、自分の社長としての責任とか、業績に対するプレッシャーとか、父親としての務めとか……何を優先して守らなきゃいけないのか、わからなくなっちゃったんじゃないかなって、俺は思うんだよね」
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