成瀬課長はヒミツにしたい
「電話で伺った内容で、すぐに検討してみたんですが、うちの規模を拡大すれば、全てとまではいきませんが、玩具の製造を引き受けることは可能です」

「そっちにも、初期投資で負担をかけることになるが……」

「それは承知の上です。それよりも、サワイの仕事がなくなる方が、こっちには痛手なんですよ。精神的にもね……」

 卓也は真理子を見ると、そっとウインクする。

「卓也くん……。ありがとう」

 真理子は卓也に頭を下げると、潤んでくる瞳を感じながら、隣の成瀬を見上げた。


「柊馬さん……よかったですね」

 真理子は成瀬の腕にそっと触れる。

「あぁ」

 成瀬も緊張の糸がほぐれたように、やっと安堵の息を漏らした。


 顔を見合わせる二人の様子を見ながら、卓也は小さく眉を上げる。

「そっか……うまくいったんだ」

「え?」

 卓也の独り言が耳をかすめ、真理子は不思議そうに首を傾げた。

「なんでもないです」

 卓也はにっこりとほほ笑むと、成瀬に目線を送る。
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