成瀬課長はヒミツにしたい
 成瀬は取り繕うように一度咳ばらいをすると、卓也に向き直った。

「それともう一つ……別件で話があるんだが」

 成瀬はそう言いながら、あの設計図を鞄から取り出し、そっと机の上に広げた。

 そしてついさっき、常務から聞いた話を卓也に伝える。


「試作品でもいい。この設計図の玩具を、創立記念イベントまでに、形にしてもらう事は出来ないだろうか?」

 卓也は顎に手を当てながらじっと話を聞いていたが、設計図を手に取るとしばらく動かなくなる。

 イベント開催までは、あと半月ほどしか余裕がない。

 真理子は祈るような気持ちで、卓也の顔を見つめていた。


「うーん……」

 卓也の唸り声が聞こえる。

「結論から言うと、できなくはないです。王冠の応用でいけばいいので。問題は時間ですね……」

「時間?」

「今一件、別の会社の依頼を抱えてるんですよ。その製造に人員を割いてて、それがなければ余裕もあるんですが……」
< 353 / 413 >

この作品をシェア

pagetop