成瀬課長はヒミツにしたい
　――これを、社長に知ってもらうんだ。そしてみんなで、サワイライトの輪を作り上げるんだ。


　真理子は両手を胸の前で合わせると、ぎゅっと力を込めた。


　その後、真理子たちは卓也に工場の中を案内してもらった。

　働いている人たちはみんな気さくで、元々電飾玩具が大好きな真理子は、あっという間に打ち解けた。


「やっぱり、真理子さんっていいなぁ」

　卓也は真理子の後姿を見ながら、口元をほころばせる。

　真理子は今、王冠のおもちゃの製造過程を大興奮で見ながら、ベテランの社員の話を聞いている。


「だめだ。お前には、絶対に渡さない」

　成瀬がいつになく不貞腐れた声を出し、卓也はあははと声をあげて笑った。

「成瀬課長でも嫉妬するんですね。もしかして、意外と独占欲強いとか？」

　卓也はニヤニヤしながら成瀬の顔を覗き込む。

「知るか……」

　成瀬は照れたようにそっぽを向くと、ぶっきらぼうに答えた。
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