成瀬課長はヒミツにしたい
 二人の様子を見ていた卓也は、あきれたように肩をすくめる。

「全く、見せつけられちゃかないませんね。真理子さん。うち、結構厳しいですよ!」

「もちろん! 体力には自信あるから大丈夫!」

 ガッツポーズを見せる真理子の脇から、成瀬がひょいと顔を覗かせた。


「俺も手伝いに来るよ」

「え?! 成瀬課長まで?! それは貴重だな……」

「ちょっとー! 私は貴重じゃないってこと?」

「いえいえ、決してそんな事は……。ていうか、サワイは大丈夫ですか?!」

 あははと笑い合う成瀬と卓也の顔を見ながら、真理子はまたじわじわと潤んでくる目頭を指で押さえる。


 一時は離れ離れになった卓也とも、こうやってまた笑い合い助け合えるようになった。

 分かり合えないと思っていた秘書課のみんなとも、協力し合えるようになっている。

 サワイをもう一度一つにするために、少しずつみんなが一つの輪になりだしている。
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