成瀬課長はヒミツにしたい

「サワイライトは今年、創業40周年を迎えます。この節目の時に、もう一度サワイの歴史を振り返り、新たな気持ちで社長と共に前に進みたい。みんなで一つの輪を作り上げたいんです」

　真理子は社長の顔を下から覗き込むと、力いっぱい両手を広げる。

「真理子ちゃん？」

　社長は戸惑うように、成瀬と小宮山に目線を送った。


　その様子を見ていた小宮山が、コホンと咳ばらいを一つしながら近寄り、真理子の隣に立つと口元に手を当てる。

「社長。つまり水木さんが言いたいのは、俺たちが側にいるってことですよ」

　「え？」

　社長は再び首を傾げる。

「そうだな……」

　すると成瀬も口元を引き上げると、社長の隣に立ち、肩を組むように手をかけた。

「明彦、お前は一人じゃないってことだ。この扉の奥には、お前を応援して一緒にサワイを盛り上げようって人達がいっぱいいる。一緒に考えよう。サワイの未来を……。みんなが同じ想いで進める道を考えるんだ……」