成瀬課長はヒミツにしたい
 成瀬は反対の手を伸ばし、真理子の肩にそっと手をかける。

 真理子は成瀬が何をしたいのか、ピンときた様子でくすっと笑った。

「私も……」

 真理子は隣を向いて小宮山に目配せすると、そのまま小宮山の背中に手を回す。

「……そういうことね」

 小宮山がウインクしながら社長の肩に触れると、四人は円陣を組んだような態勢になった。

「え?! いきなり何?!」

 三人から見つめられ、社長は照れくさそうに戸惑っている。


「さぁ、みんなが待ってるぞ」

 成瀬が優しく声をかけると、扉の前に立った。

「柊馬……」

 社長の視線を感じながら、成瀬は静かに入り口の重い扉を押し開ける。


 会場で待っていた大勢の社員たちは、開かれた扉へと一斉に目を向け、拍手で社長を迎え入れた。

『これより、サワイライト株式会社 創業40周年記念パーティを開催いたします』

 司会のアナウンスが流れ、それぞれがステージを向くと、静かに上からスクリーンが降りてきた。

 スピーカーから流れるオルゴールの音楽と共に、次第に薄暗くなるステージには映像が映し出される。
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