成瀬課長はヒミツにしたい
「え？　あれって……」

　社長はスクリーンを見上げると、小さく口を開く。

　そこに映し出されていたのは、まだ小さな事務所だったサワイライトで働く若き先代と、その傍らで王冠の電飾玩具を手に笑顔を見せる男の子の写真。


「……俺だ」

　社長は目を丸くすると、スクリーンに引き寄せられるように一歩近づいた。

　会場にいる誰もが、初めて見る写真にくぎ付けになっている。


　ビデオはサワイライト40年の歴史を、振り返る内容で構成されていた。

　先代のインタビュー記事から始まり、今に至るまでの事業の紹介。

　その中で王冠の電飾玩具が作られた経緯も、初めて紹介された。

　そして各部署や工場の社員たちからの、お祝いのメッセージが流れた後、一旦画面が暗くなる。


　次に画面が明るくなった時、映し出されていたのは、笑顔の乃菜の姿だった。

「乃菜？　え？　あれって、何？」

　社長は乃菜の頭の上で、色とりどりに光るティアラにすぐに気がつく。
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