成瀬課長はヒミツにしたい
『皆さま、会場の真ん中にご注目ください』

 その掛け声とともに、会場の真ん中に設置されたオブジェに、一斉にイルミネーションが点灯された。

 「わあ」という大きな歓声が上がり、眩いばかりのライトで装飾されたオブジェが現れる。


「もしかして……このデザインって」

 社長は目を見開くと、成瀬と真理子を振り返る。

 真理子は笑顔でうなずいた。

「乃菜ちゃんのデザインですよ。もう、サワイの立派なデザイナーですね」


 会場に現れたオブジェは、乃菜がいつも描いていたお城のデザインのイルミネーションだった。

 会場内は驚きと、感嘆の声に包まれる。


 オブジェは、カラフルな色は一切使わず、全てがライト本来の色のみで表現されていた。

 オレンジがかった温かみのある色から、黄みがかった色、昼白色から青みがかった色まで。

 濃淡を加えるように配置されたデザイン、その輝きはサワイのイルミネーションライトの実力が見て取れる出来栄えだった。
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