成瀬課長はヒミツにしたい
『今回のオブジェは、社長のお嬢様、乃菜さんのデザインを元に作成させていただきました』

 司会者の声が聞こえた時、いつの間にか席を外していた小宮山が、乃菜を連れて現れた。


「パパ!」

 乃菜の透き通った声が会場に響く。

 社長が驚いた様子で顔を上げた。

 乃菜の頭には、あのティアラの電飾玩具が輝いている。


「パパ。のなはね、パパのつくったキラキラがだいすきだよ! あとね、このティアラもだいすき」

 乃菜は社長に駆け寄ると、その腕にぎゅっとしがみつく。

「だってね、のなは、しってるんだよ。ぜーんぶ、パパとおじいちゃんが、みんなといっしょに、たいせつにつくったものだって、しってるんだもん」

 乃菜は社長を見上げながら、ニッコリとほほ笑んだ。

「……乃菜」

 社長は膝をついてしゃがむと、乃菜を力いっぱい抱きしめる。


 会場内には二人を包みこむように拍手が巻き起こり、その音はいつまでも続いていた。
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