成瀬課長はヒミツにしたい
 成瀬は最初から知っていたのだろうか。

 少し照れたようにほほ笑むと、静かにうなずいた。


「まりこちゃん、あたまだして!」

 乃菜の声が聞こえ顔を向けると、乃菜の手のひらには、あのティアラの電飾玩具が光っていた。

「これって……」

 真理子はティアラを覗き込む。

 以前、試作品で作ったものより、はるかに高級感のあるシルバーに塗られたティアラは、ゆったりとしたスピードで色とりどりのライトが点滅を繰り返している。


「完成品の第一号だよ。一番に真理子ちゃんに付けたいって。ほら、乃菜……」

 社長に促され、乃菜はそろそろと手を伸ばすと、真理子の頭にティアラをつける。

 頭の上でキラキラと光るライトが、目を輝かせる乃菜の顔を照らした。

 その色とりどりのライトの点滅を見つめながら、真理子の中でぐっと熱いものがこみ上げてくる。


「乃菜ちゃん。ありがとう……」

 真理子は、乃菜の小さな肩を包みこむように、ギュッと抱きしめた。

 すると乃菜は、紙袋からもう一つ電飾玩具を取り出し、そっと背中に隠す。
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