成瀬課長はヒミツにしたい
 「えへへ」と肩をすくめるように笑った乃菜は、おもむろに成瀬の前に立った。

「こっちは、とうたんの!」

 サッと目の前に差し出されたものを見て、真理子は成瀬と一緒に目を丸くする。

「え?!」

 成瀬のぎょっとした声が響き、乃菜の手のひらをもう一度覗き込んだ。


 そこに握られていたのは、王冠の電飾玩具だった。

 それも明らかに以前のものとは違い、ティアラと同じくシルバーに塗られた高級感のある王冠は、ライトも新しくなっている。


「実はね、ティアラと合わせて王冠の方も、ここのショップで取り扱ってもらえる事になったんだよ。だからバージョンアップしたの」

「そんな話……聞いてないぞ」

 成瀬が再び驚いた声を出す。

「うん、ごめん。二人を驚かせたくってさ。社内で内緒にしてた……」

 肩をすくめる社長に、真理子は成瀬と顔を見合わせると、あははと笑い出した。


 なんて素敵なプレゼントだろう。

 みんなの潤んだ瞳に映るライトは、キラキラといつまでも優しい光を放っていた。
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