成瀬課長はヒミツにしたい
「だって、俺経験ないのに、何でシステムなんですか? 地味だし、イメージ暗いし、デスクは端っこだし」

 真理子は一瞬、頷きそうになる自分に慌てて首を振った。


 すると、システム部長のにんまりとした笑顔が、目線の端に映る。

「システムは~社員のみんなの~世話係~ってな」


 真理子は部長の言葉に肩をすくめると、勢いよく卓也を振り返った。

「そういうこと! わかった? 新人」

「うわ……。真理子さんの性格にピッタリですわ」

 卓也はとほほと、両手を上げる。


「水木さーん。パソコンの調子悪いんだよね。見てくれる?」

 フロアの奥から真理子を呼ぶ声が聞こえた。

「はーい!」

 真理子はハネた髪の毛を後ろで一つに結ぶと、颯爽とフロア内を駆けて行った。
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