その甘さ、毒牙につき
危うく瑞樹くんのペースに乗せられるところだった。
「…も、もういいでしょ?そこどいてください」
とりあえず教卓の下から脱出したくて言う。
また何か言われるんじゃないかと思ったけど。
「ん、いーよ」
と、思いのほかあっさりどいてくれた。
あれ…やっぱり、私の思い違い?
さすがにそこまでひねくれてるわけじゃないのかな…。
なんて思いながら、頭を出して踏み出そうとした瞬間に、足に鈍い痛みが走った。
「──っ…!?」
ずっとしゃがみ続けていたせいで、足は酷く痺れていたらしい。