心臓と雪
熱が上がってきた。

「寝るか」

美命は病院のベッドのデスクを押しやって、横になる。

体が弱く、物心ついた時にはすでに病院暮らしだった。少しでも歩いたり怒ったりすれば、心臓が悲鳴を上げて苦しくなる。酷いことを言われても怒れない上にまともに歩けないのでは何も頑張れることなどなかった。

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