間違ってる?間違ってない?
9. 初めて知る

大和の話しは·····


一度目の結婚は
家も隣同士で
ご両親同士もとても仲の良い幼馴染

結婚して一年目に
二人の間に
子供を授かるが

染色体の異常で流産
その時の痛みで
彼女は、身体をつなげる事が
できなくなり離婚をした。

両家とも苦渋の決断だったらしい

元奥さんは、ネイリストさんで
今は、自宅を改装してお店にし
そこでネイリストをやっている
らしい。

物心ついてから
ずっと 誕生日は
甲斐家と原田家でやってきた。
「だから今回も行きました。」
と、淡々と話す大和に

「物心ついてから
ずっとやってきたのは、誕生日だけ?」
と、訊ねる母に
「いえ、独身の時は、
クリスマスとか年末年始。
ですが、夏帆と付き合い初めてからは
夏帆と一緒に過していました。」
「誕生日って。
その人が生まれてきてくれた
奇跡を祝う事だと思うの。
だけど、大和君は、
ずっとそうしてきたから
今からも変わらないと
と、言う事よね?」
「······えっ。いやっ、夏帆が
そんなに嫌なら·····」
と、言う大和。

「まだ、元の奥さんに
気持ちがあるんじゃない?
離婚に対して苦渋の決断
だったと言ったわよね?」
と、次々に訊ねる母に
「好きか嫌いか、と訊かれたら
好きです。友人として。
でも、愛しているか
と、訊ねられたら愛していません。
ただ、流産した事には
責任は感じています。」
と、答える大和。

「流産した事に責任を感じて
いるから誕生日はお祝いするの?
まあ、お互いの一年を
振り返るみたいに。」
と、嫌味?半分に訊く母

「すみません。
そんなに深く考えているわけでは
なかったので。」
と、しどろもどろな大和に

「夏帆が、嫌だから
誕生日は、夏帆といて欲しい
と、言ったら
大和君は、いかないの?
元の奥さんのとこに?
気になるから別の日に行く?
それとも夏帆の方を別の日にする?」
と、言う母の言葉に

「君は、一昨日の誕生日に
ついて、自分は何も悪くない
いや、間違ってない
と、思っているよね?」
と、父が口を挟む

「····えっ····。いや····。」
と、慌てる大和に

「だって、君は、一度も夏帆に
謝罪の言葉を口にしていない。
夏帆が勝手にしたと思っているから
だろうが。
君へのプレゼントを買い
料理を作り、君が喜んでくれる
だろうと思っていた夏帆の
気持ちは、まったく考えてなくて
当たり前に今までやってきたから
と。
どこに行くのも告げずに出ていかれた
夏帆の気持ち、わからないよね
分かればしていないか。」
と、言う父の言葉に
慌てたように
「手料理作ってくれていたのに
すまなかった。
行き先も話しているつもりで
いたんだ。
だから、どうして料理が
と、思ってしまって。」
と、頭を下げる大和に。

「誕生日に一緒にいたい
いないと行けない相手が
いるなら、どうして
私に告白したのですか?
父から言われるまで
悪いとも思っていなかったの
ですよね?
最初に話して貰っていたとしても
納得できなかったかも
しれませんが·····

赤ちゃんの事が気になるなら
電話で様子を訊くなり
一緒に甲斐家に行った時に伺うなり
出来るのではありませんか?」
と、私が言うと

「俺は、告白したときにも
伝えたけど
夏帆の真面目で頑張り屋で
一生懸命な所に惚れたんだ。
美穂に気持ちはない。
だけど、こんな事になるとは
思っていなかった。
夏帆、お義父さん、お義母さん
本当に申し訳ありませんでした。」
と、頭を下げる大和に

いまは、何を言って良いのか
わからなかった。

とりあえず、大和には
一人で帰って貰った。

どうしても
一緒に戻る気にならなかった。

大和は、何か言いたそうだったが····
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