間違ってる?間違ってない?
14. 娘の思い

婚姻届の時は、
気持ちもはずみ
幸せいっぱいで大和と二人で来た。

係の方の事務的な対応に
少し寂しさを感じた位に·····

「離婚届が欲しいのですが。」
「こちらになります。」
と、一枚の用紙を見せてくれて
封筒にいれてくれた。
「ありがとうございます。」
と、頭を下げてから
区役所を後にした。

淡々と対応してくれた
区役所職員さんに
ホっとする自分
身勝手だなぁとおかしくなる。

仕事終わりに倉橋さんに
「お疲れ様でした。」
と、声をかけてから帰宅する。

倉橋さんは、心配そうな顔を
していたが·····
「お疲れ様。」
と、言ってくれた。

相変わらず携帯には、
大和から着信やライン
メールが来ているが
見てもいないし
折返しもしていない。

嫌、見る気も、見たくもない
と、言うのが本音だった。

帰宅すると母さんが
「先に食べる?」
と、言ってくれたが
「話してからで良い?」
と、言うと
「じゃ。お父さん待とうか。」
と、言ってお茶をだしてくれた。

少しすると父が帰宅して
「父さん、帰ってそうそう
ごめんなさい。」
と、言うと。
「嫌、大丈夫だよ。
夏帆の話しを聞かせて貰おうか?」
と、言いながら
母さんにも座る用に手で示す父に
私は、貰ってきた離婚届を
テーブルに載せた。

自分の所は、記載している。

両親の前では、書きたくなくて
貰った後、カフェで記入した。

二人とも驚く事はなかったから
わかってくれていたんだと思った。

「大和の事は、仕事の上でも
尊敬していたし、愛してもいた。

だから、誕生日を別に過ごす位
我慢しよう。

家族が出来たら
改めて話し合いをしよう。
と、思っていたの。
だけど······
『たかだか誕生日如き』
『俺の誕生日だぜ』
『俺が祝って貰いたい人に
 祝って貰って何が悪いかわからない。』
と、言った·····大和の言葉に······

誕生日如き?
祝って貰いたいのは、
妻である私ではなく
元妻で幼馴染の女性とその家族なんだ
と、思ったら
大和の今までが、全て絵空事に思えたの
プロポーズも
ずっと一緒に居よう
と、言ったのに
一緒に居ないのを望んだのは、大和。
もう、無理だと思った。

結婚したばかりなのに
ごめんなさい。

父さん、母さん。
私は、甲斐 大和さんと
離婚したいと思っています。」
と、涙を拭きながら
詰りながら話すと

「父さんも母さんも
大和君が挨拶に来た時
どうして、もう少し深く前の話しを
きかなかったのかと
悔やんだんだ。

夏帆を大事に大切にしないなら
できないなら
夏帆を任せる事はないよ。

それは、長い短いは関係ない。

むしろ、早くわかって良かった。

後は、どうする?
夏帆が直接あちらと話すか
第三者を立てるか、だけど。」
と、言ってくれた父に
「結婚を、気に別の支店に
行けて良かった、と思っているの
先輩達も優しいから。
出来たら、もう、会いたくない
同じ銀行だから
いつか会うことも
あるだろうけど
今は、いいかな。」
と、言うと
「夏帆の気持ちは、分かった。
じゃ、そちらは父さんに
任せて貰って良いか?」
と、言われて
「助かります。
父さん、ごめんなさい。
宜しくお願いします。」
と、頭を下げる。

母さんは、ティッシュを取って
くれたりタオルを渡してくれたり
自分も涙を流していながら。

本当に親ってありがたい
いつも味方になってくれて
一緒に考えてくれる。
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