間違ってる?間違ってない?

···大和②


福岡へ来て
一年、一年と過ぎて行く。

大型連休の夏と冬に
鎌倉に帰ったり帰らなかったりの
日々を送っていた。

両親は、あの時 父親が話したように
四人で温泉に行ったり
旅行をしているようだ。
美穂からもその報告がたまにある。

美穂も
「少しずつ前に進んでみる。」
と、言っていた。

俺も、俺じゃなければ
上手く行くのではないかと
思っていたから
「頑張れよ。」
と、伝えた。


福岡に来て三年が過ぎた時に
美穂の結婚が決まり帰省した。

美穂の旦那さんになる人は
美容業界の人で
美穂の店にも
卸に来るみたいだ。
とても優しそうな人だった。

俺にも付きあっている女性がいる。
山本 和葉(やまもと かずは) 31歳
和葉とは、行員の紹介で
知り合った。

和葉は、顔立ちは可愛いが
さばさばした性格をしている。
付き合い始めて半年が過ぎた。

今回の美穂の結婚式に帰省すると
伝えると。
「気をつけて行って来て。
 お父さん、お母さん孝行してきてね。」
と。
美穂の話しも
バツ2の話しもしている。

だが、和葉は、取り入って何も
言わなかった。

そう、和葉は
細かい事を気にしない性格でもあるし
俺と同じ考え方だ。

バレンタインやホワイトデーと違い、
クリスマスや誕生日は、
自分の仲の良い仲間達と過す。

大型連休は、旅行にも行ったり
お盆や年末年始は、実家に顔出しするが
殆ど友人達と過す。

それが定番となっていた。

さばさばした性格の為か
和葉は、回りから好かれていた。

付き合い出して初めての
俺の誕生日の日
「大和。誕生日おめでとう。
   今夜、どうするの?」
と、電話で言われて
「ああ。ありがとう。
   どうするの?って。」
と、返すと
「友人?銀行の人?達と
飲み会とかあるのかな?と。」
「いや、何も聞いてないし
無いと思う。」
と、答えると
「そう。
それなら、どこかに食べに行こうか?」
と、淡々と和葉に言われて
「そうだな。」
と、答えた。

俺の頭の中では
夏帆の作ってくれた
あの美味しそうな
料理やケーキが思い出されていた。

自分で、放棄したくせに
今になって·····

その夜は、和葉の知り合いの
お店で美味しく食事をした。

無論、和葉の誕生日当日は、
和葉は、友人や知人達と
お祝いをして
明け方に帰宅したらしい。

翌日に俺とお祝いをした。
二日も祝って貰えて
贅沢だと笑っていた。
< 34 / 46 >

この作品をシェア

pagetop