理系女子の初恋
「俺にラブラブな彼女でもいたらこんな面倒は起きないんだろうけど」

「田中さんはモテるから、彼女なんて光の早さでできるんじゃないんですか?」

「あ、違う?ラブラブじゃない彼女はいるのか?」

やばい、少し酔ってきた、考えてる事が口から漏れ出してしまう。

「麻友ちゃんの俺のイメージが酷過ぎるな」

「だって、さっきも休憩所でお誘い受けてたじゃないですか、私なんて放っておいて、両手に花で飲みに行けば良かったのに」

「そしたら私は今頃、夢の中にいたはず」

「麻友ちゃん?いつの間にそんなに酔ったの?さっきから本音が駄々漏れてるよ?」

このレモンリキュールのソーダ割りが美味し過ぎるのがいけない。

「爽やか過ぎる、、そう!このお酒も田中さんも!爽やか過ぎるんですよ!」

これ以上はやばい、帰れなくなりそうだ。

「今の内に帰る事にします!お疲れ様でした!」

「え?ちょっと、麻友ちゃん?」

慌てふためく田中さんを無視して財布から五千円を抜き、テーブルに叩き付けて席を立った。

高そうな店だけど、足りるか?まあいっか!

とりあえず山口さんの事は片が付きそうだ、それだけでも実りある時間だった、気分がいい。

私の片想いは相変わらず拗れているけど、今はとにかく仕事を頑張って一人前と認められるようになろう。

まずはそれからだ。

そのためにも、早くお家に帰って、お風呂に入って、さっさと寝なければ。

でもその前に、お腹が空いたな。

そうか、夕飯を食べてなかった。

お洒落な店は炭水化物が不足しがちだよね。

うん、やっぱりラーメンを食べないと、締まらないわ。

目に入った中華屋に入って、ラーメンと餃子とハイボールを注文した。

ハイボールを飲んで一息つくと、隣のテーブルに座る主任と目が合った。

幻かな?うん、きっと幻だな。

主任の幻に手を振ると、一瞬驚いた表情をして照れたように目をそらされた。

やだー、幻主任がかわいい。

幻主任を愛でてる間に、注文していたラーメンと餃子が運ばれてきた。

そうだ、お腹が空いてたんだった。

そして私は、ラーメンと餃子を食べきり、ハイボールも飲み干して、家に帰って、お風呂に入って、ぐっすり眠った。
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