White Snow3  前野晴久の苦悩
  ※※※


エントランスで智花と二人、梅原さんを見送った。

「ふう、終わった~」
智花はあからさまに安堵の表情をした。


梅原さんと随分仲がいいんだね?
元カレ?
智花が泣いてた理由は梅原さんなわけ?
今度会う約束してたよね?
どういうつもりなんだ?


言いたいことも聞きたいことも山程ある。

自分がこんなに嫉妬深いなんて思ってもみなかった。
というより、嫉妬とかしたことがなかった。



エレベーターがきて、二人で乗る。
4階を押して、ドアが閉まる。

俺は後ろから智花を抱き締めた。

「え?晴久?」

驚いて振り返ろうとする智花をそのまま抱き締めた。

「精神安定剤が必要です」
「は?どゆこと?」

ポーン。

エレベーターが4階に到着した。
ドアが開く前に、回していた腕を放し、頭にチュッと軽くキスをする。


「早いなあ」

と呟いて歩き出す。

動かない智花に、
「降りるよ」
と、エレベーターのドアを押さえながら声をかけた。


智花は、「あ。はいはい」と慌ててついてくる。



頬を赤くしている智花はやっぱりかわいい。

嫉妬していた俺は少し落ち着きを取り戻した。



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