俺、チョコはいらない。


下駄箱で私は上靴からローファーに履き替え、外へ出る。


「はぁ……」


せっかく頑張って作ったのに。


あんなことを聞いてしまったら、渡せないじゃない。


だけど、毎年チョコだけはもらっていた橙也がああいうことを言うのは初めてで。


こんなこと、考えたくもないけれど。


もしかして……好きな子でもできた?


そう考えただけで、胸がチクッと痛む。


校門を出てひとりトボトボと通学路を歩いていると、頭にポツっと何かが当たった気がした。


私は、灰色の空を見上げる。


「うそ、雨だ」


ぽつぽつと降り出した雨は、一気に音をたてて強いものに変わった。


早く、雨をしのげるところへ行かなくちゃ。そう思うのに。


なぜか足が、鉛のように重たくて動かなかった。


私がその場に立ち尽くしていると。


「……舞衣?」


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