隠れ御曹司の愛に絡めとられて

「こっちはワインも合うよ?」

「ワイン……」

「うん。昨日渡したワインをイメージしながら味付けしたから。開ける?」

「……うん」

「じゃあ僕が開けてあげるねー」


開栓の手際が良くてまるでソムリエみたいだ。

やっぱり仕事でよく開けてたりするんだろうか……。

シャンパンとか、ワインとか、毎日何本も開栓してたりするんじゃないかな。

可愛い女の子にちやほやされて、一晩中一緒に飲んだり甘い言葉も駆使して相手を酔わせてるんでしょ。


ワインは確かに作ってくれた料理にとても合っていて、ますますお酒が進みそうだ。

控えめに言っても、どっちもものすごく美味しい。

料理は彼も少し食べているとは言え、私だけこんなに美味しいものを飲み食いするのがなんだか申し訳ない気がしてきてしまった。

メープルくんは相変わらず私の目の前でニコニコ笑っていて、そんなことは全く気にしていない様子だけど……。


「……あのさ」

「うん?」

「……えっと、その……」

「ふふ。どうしたの?」

「い、一緒に、飲む?」

「……え?」

「車……、また、取りに来れば、いいじゃん……」

「……ふふっ、亜矢さん、どうしたの?」


ふわふわと笑いながら私の誘いをスルーする。

こっちは半ば決死の覚悟で口にしたのに、かわされてしまったら恥ずかしさしか残らない。
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