隠れ御曹司の愛に絡めとられて

と言うか、ちょっと待って。

さっき、帰ろう、って言った? 言ったよね?

駅に着いて改札をくぐりホームへと向かう階段が、私がいつも使ってる階段とは逆なんですけど?

と言うかキミの家はこっちかも知れないけど、私の家は逆なんですよ。


「ねえ、ちょっとっ」

「んー?」

「逆なんだけど」

「え、なにが??」

「私の帰る方向」

「えー?」

「……ねえ、ちょっと」

「え、だって、僕の家はこっちだし」

「だから、私の家はこっちじゃないんだってば」


駅まで送るだけだったんじゃないの?

どう言うことよ?


「えー、僕の家に帰るんだよね?」

「……はぁ?」

「僕ん家だと食事が一日三食付くし、家賃も無料だよ?」

「なに? 何の話?」

「え。一緒に住みましょう、って言うお誘いです」


にこにこしながらとんでもない誘いを持ちかける子だね。

話の内容が突飛すぎる。


「亜矢さんひとりにしておくと、ちゃんと食事してなさそうだから」

「……」


返す言葉が思いつかない、だって真実を言い当てられてしまったから。

ぐうの音も出ないとはこのことか。

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