隠れ御曹司の愛に絡めとられて
――どれぐらい眠っていたのだろう?
だるい身体をなんとか起こして、私はゆっくりと辺りを見回した。
薄暗い室内、快適な寝心地の大きなベッド、彼の香り――。
ああそうか、ここは、彼の家、か。
頭が重い、ぐらぐらする。
この状態では仕事は無理だろう。
朝なのかどうかも分からない。
もし朝なら、とにかく会社に連絡して、それから……。
回らない頭で今からすべきことを必死に考えながら、ベッドから降りようと片足を床についたところで、寝室の扉が開く音がした。
「あ、目が覚めた? 大丈夫?」
「……ああ、……うん、大丈夫……」
「亜矢さん、ベッドに戻って」
「あの私……仕事、行かなきゃ」
「会社にはお休みの連絡入れておいたから、大丈夫だよ」
「……え?」
「大丈夫、ほんとにちゃんと伝えたから。体調不良なのでお休みします、って。心配しないでゆっくり休んで?」
「え、でも……」
私が働いている部署を、彼は知ってたっけ……。
言ったような気もするし、言ってない気もする。
初めて会ったあの日はかなり酔ってたし、本当に色々覚えてないことばかりだ。
彼にベッドへと押し戻されて、仕方なく横になる。