隠れ御曹司の愛に絡めとられて
「ねえ、カエデくん、腕……っ」
「大丈夫だよ」
「……くそっ、邪魔しやがって……っ」
カエデくんに邪魔をされた格好になった孝治はますます興奮して、その顔はまるで鬼の形相だ。
そんな孝治から私を隠すように、カエデくんが私の前に一歩出る。
「女の子に暴力とか、最低な人ですね?」
「……う、るさいっ!! ホストみたいなガキに、亜矢は渡さないっ!!」
「まだ暴力を振るう気ですか? だったら警察を呼ばざるを得ませんが……?」
もう一度拳を振り上げた孝治に向かってそう言って、カエデくんはスマホを孝治の目の前にかざした。
さすがにそれは孝治も具合が悪いと思ったらしく、振り上げた拳をブルブルと震わせたまま悔しそうにカエデくんを睨んでいる。
孝治は「……クソッ!!」と言いながら拳を下ろした。
「そっ、そんなメシマズ女、欲しけりゃくれてやるよ……!!」
そんな最低な捨て台詞を吐いて、孝治は私たちの前から立ち去って行った――。
「カエデくん、ごめん……、ごめんね……っ」
「亜矢さん、大丈夫だよ。だから、落ち着いて?」
落ち着けるはずがない。
孝治の振り下ろした拳はカエデくんの腕にかなりの強さで当たったはずだ。