隠れ御曹司の愛に絡めとられて
えっ、待って、もしかすると私の心臓のドキドキ、こんなに密着してたら彼にばれちゃうんじゃない?
いやだ、恥ずかしすぎる。
しかし離れようにも彼が私の手を優しく拘束しているから、離れられそうにない。
コートが分厚いから、きっと大丈夫、きっと……。
そう願うしかない。
「夜景、どう……?」
「う、うん、すごく綺麗」
そう答えはしたものの、もう夜景どころではなくなってしまった。
この状況でどうやって冷静に景色を見れば良いというのだろう。
そんなの無理に決まってる。
メープルくんは私の耳元で「ほんと綺麗だね」なんて暢気に話してるけど。
本当にもうそれどころじゃないですよ。
いちいち声が右耳からダイレクトだし。
おまけに、ふんわり握られてた手が……彼がスルリと手を動かして、指と指を絡ませるように繋ぎ合わせてきて……私の手の甲はすっかり彼の手に包み込まれてしまった。
おいおい、何してんのキミ……?
絡まる指が気になって仕方ない。
思わず彼を睨もうと振り返るために顔を動かしたら……あまりにも近い場所に彼の顔があって、思わず仰け反りそうになってしまった。
まって、心臓に悪いっ。
よろけてしまい、彼に支えられて事なきを得る。