魔王様と秘密のバレンタイン。
「山田、黙れよ」
心陽がキレる。
「こっっわ」
そう、“振られ姫”とはわたしのこと。
幼稚園から高1まで好きな人にバレンタインチョコを渡そうとしたけど、
相手には必ず好きな人がいて断られ続けた結果ついた最悪なあだ名。
「涙花、山田のことはスルーでいいから」
心陽はわたしの手をぎゅっと握る。
「毎年勇気ある涙花のことほんと尊敬する」
「今年は貰ってもらえるといいね」
わたしは満面の笑みで笑う。
「心陽ありがと、わたし、頑張るっ」