私、今日想い伝えます‼︎
化粧もファッションも磨きあげ、
明日がついにバレンタイン当日になった。
頼人君に想いを伝えるため、一生懸命
チョコレートを作った。
手作りチョコって重いかな...?
でも、気持ちを伝えるならこれしかない‼︎
お母さんに何やってるの?と言われながら
チョコレートマフィンを作った。
自分で試食してみると
「おいし!!
これ、美味しくできたのでは⁉︎」
チョコレートマフィンに軽く飾り付けを
してok!!
その日はドキドキして寝れなかった。
次の日になり、下駄箱に手紙を入れる。
"放課後中庭に来てください"
本当に来てくれるだろうか?
不安で仕方なかった。
放課後、中庭に行くと頼人君がいた。
「頼人君‼︎突然ごめんね」
「大丈夫だよ。どうしたの?」
「あの....
今日バレンタインで、チョコレートマフィン
作ってきたので食べてください‼︎」
一世一代の大勝負!
初めて告白なんてした。
ずっと心臓はうるさくなりっぱなし。
頼人君の返事を待っていると、
「ごめん、俺好きな子からしか
チョコ貰わないことにしてるんだ」
私の頭は一瞬フリーズした。
受け取ってもらえなかった時のことを
考えていなかったから。
いや、考えたくなかったから。
でも、ここで泣いたら女として恥だ!
と思って必死に笑顔を繕った。
「そうだよね〜ごめんね!」
「こちらこそなんかごめん」
「気にしないで!!」
それから、頼人君は帰って行ったのだろうが
いつ帰ったのか覚えてない。
フリーズした私は中庭のベンチに
腰掛けていた。
「はぁ...」
一生懸命作ったこれ、どうしよう...
勿体無いから自分で食べようかな...
食べようとした時、いろんな思いが
フラッシュバックした。
頑張った化粧にファッションに
昨日作ったチョコレートマフィン。
気づいたら涙がポロポロ流れていた。
「頑張ったのに、ダメだった...」
空を見上げて、明日のことを考えていた。
明日気まずいな〜
そんなことを思っていたら、突然声を
かけられた。
「おい!」
「はい!!」
急に声をかけられたから勢いよく
返事をしてしまった。
「それ、くわねぇの」
「今から自分で食べようかと...」
「それ、ちょうだい」
この人話聞いてた?
この時やっと彼の顔をちゃんと見た。
その人は皮肉にも愛しの彼に似た人だった。
「叶人君...」
そう、彼は頼人君の
双子の弟の叶人(かなと)君。
確かクラスは隣だったはず。
なんで私に声かけてきたんだろ?
「じゃ、もらうわ」
「えっ!ちょっと!」
「これ、めちゃくちゃうまいじゃん!」
勢いよく食べる叶人君。
美味しい、美味しいと言って食べてくれた。
それが、なんかすごい嬉しかった。
「美味かったよ春子!
今度弁当作ってきてくれよ!」
「いいけど...
それよりなんでわたしの名前?」
「そんなのどうでもいいだろ。
じゃ、明日楽しみにしてるから!」
叶人君は嵐のように去って行った。