婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました
 なんだ、世話役をしているあの娘か。はぁっ、朝から煩いな。そろそろ入学して二ヶ月か……。早くセリーナに気持ちを伝えないと、デビューに間に合わない。


 可愛いセリーナ。この溢れる気持ちを受け取ってくれ!




「ジェフェリー様? 聞いておられました?」


「なんだ?」


「また誘ってくださいね!」


「……あー、機会があれば」


「待ってます!」

 そう言ってスキップをして去っていくジュリアナ。


 お茶か……。セリーナのためを思って用意した茶器、あれを世話係の娘に使ってしまったのだからセリーナに使わせるわけにはいかない! 新しいものを用意しなくては。セリーナ好みの新作があれば良いのだが。

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