私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
「…………綺麗…/////
これ、ピアスを買った時に見たペアリングだよね?」
「そうだよ。
結婚指輪は、一緒に買いに行こうな!」

「うん!
……………フフ…婚約指輪がペアって素敵ね!
お互いに、婚約中です!って言ってるみたい!」
「フフ…だな!
婚約指輪を、ペアでしててもいいかなと思って」

大きなカウチソファに蒼志が星那を後ろから抱き締めて座り、お互いに薬指に光る指輪を見つめている二人。

「…………あーくん」
「ん?
…………っと…」
クルッと蒼志に向き直って、抱きつく星那の頭を撫でる。

「ありがとう!」
「うん」

「私、幸せ…」
「俺も!」

「………」
「………」

「………」
「ん?星那?」

「………ん…」
「星那ー」

星那の寝息が聞こえてくる。
「え?寝てんの?
今日連れ回したから、疲れたとか?」

蒼志はフフ…と笑って、星那の頭を自身の膝に乗せた。
そして着ていたパーカーを脱ぎ、星那にかけた。

優しく、星那の左手を持ち上げる。
薬指の指輪をなぞった。


「………やっと…やっとだ。
やっと、手に入った」

これで更に、河冨を牽制できる。

顔がにやけていた。



━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━……………
「ん…
……………
……ん?あっ!!!」
ガバッと起き上がる星那。

「あ、起きた?」
蒼志は微笑み、顔を覗き込んだ。
そして、星那の髪の毛を優しくすいた。

「フフ…星那、寝癖(笑)可愛い…(笑)」
「私、寝てた?」

「うん、ごめんな。俺がいっぱい連れ回したから!」

「今、何時?」

「んー、9時回ったとこかな?」

「え……く、9時!!?
ど、どうしよう……」

「ん?どうした?」

「せっかくプロポーズしてもらって幸せなのに、もうバイバイしなきゃだ……」

「━━━━は?」

「はっ!?河冨に連絡━━━━━キャッ!!?」
気づくと星那は、蒼志に押し倒されていた。

「…………何言ってんの?」
「え?」

「今日、絶対帰さねぇよ!!
何のために、泊まりにしたと思ってんだよ!!?」
恐ろしい形相で、星那に声を荒らげた。

「あ…そ、そうか……!今日、お泊まりだったんだ……!
ご、ごめんなさい!
いつものクセで…つい…
ごめんなさい…ごめんなさい……」

星那に声を荒らげることなんて、ほとんどない蒼志。
星那には常に優しく穏やかで、微笑んでいることが多い蒼志。

あまりの蒼志の表情と声色に、星那はガクガク怯えだした。
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