私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
後日。
講義が始まる前の講義室。

身体ごと星那の方を向き、指を絡ませうっとりとして見つめている蒼志。

「星那~」
「ん?」

「キスしよ?」
「え?/////ここ、講義室だよ?」

「わかってるよ?しよ?」
「沢山人がいるでしょ?」

「うん。いるね」
「だから、やだ/////恥ずかしい…」

「………」
「……あーくん?」

「可愛い」
「え?」

「可愛いなぁ、星那」
蒼志の顔が近づいてくる。

「や、やだ…/////」

星那“しか”見えていない蒼志は、構わず顔を近づける。


「━━━━━王子!!」
そこに、大騎が声をかけてきた。

「あ?なんだよ、大騎」
「大騎くん!」
(た、助かった……)

「今日、飯付き合ってよ!」

「は?やだ」

「頼むよ、王子ぃー!」

「キモい、ウザい、消えろ!」

「あーくん!」

「え……星那…?」

「お友達にそんな言い方しないで!」

「あ…あ…違うよ?
そんなつもりで…言ったんじゃ……」
星那には、どうしても強く出られない蒼志。

「大騎くんは、大切なお友達でしょ?
ダメだよ!」

「わかってるよ」

「大騎くんに付き合ってあげて?」

「………」
「……ね?」

「………わかった」

「サンキュ、王子!
姫様も、ありがと!」
「ううん!」



━━━━━━━━
━━━━━━━…………
「じゃあね、あーくん!」

「あぁ。河冨、星那をよろしく」

「もちろんでございます」
不機嫌な蒼志に、不思議に思いながらも河冨は丁寧に頭を下げる。
蒼志の自宅マンション前で別れる、蒼志と星那。

蒼志は、車が見えなくなるまで見つめていた。


一旦シャワーを浴び、貴重品だけ持って外に出る。

駅前で待ち合わせなので、ゆっくり歩いて向かう。

「あー、めんどくさっ!」

大騎が誘ってこなければ、星那と門限ギリギリまで一緒にいれたのに。
そう思うと、余計にイライラしてくる。

少し早く着き、大騎を煙草を吸いながら待つ。


非の打ち所ない美しさを持つ、蒼志。
モデルのようにスラッとして、爽やかな容姿。

街ゆく人達の目を惹いていた━━━━━━━

ただ、かなり機嫌が悪いので誰も近づかない。
それ程━━━蒼志は、オーラが凄まじい。


そこにタタタッと女性が、蒼志に向かって駆けてきた。
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