私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
貴女の傍にいさせてください
「━━━━━はぁはぁ……」
河冨が、熱にうなされている。

河冨の部屋にノックが響き、星那が入ってきた。
「河冨?大丈夫?」

手には、飲み物と雑炊が乗ったトレーを持っている。
「あ…お嬢…さ、ま…」
「うん。
雑炊、持ってきたよ。
食べれる?」

「はい…すみません……」

「ううん。河冨、お外で私のこと待つの控えて?
春夏ならいいけど……」
ゆっくり起き上がる河冨を支えながら言う、星那。

「しかし前にも申しましたように、お嬢様が帰って来ることを想像してるので、全然苦ではないです」


河冨が風邪をひいたのは、星那を外で待ち続けた為だ。

三日前のホワイトデー。
星那は、蒼志の自宅マンションで過ごしていた。
門限の21時に蒼志が久瀬川邸に星那を送ると、門の前で河冨が待っていたのだ。

ここ最近、蒼志の自宅マンションで過ごした帰りは、蒼志が星那を自宅まで送っている。

その為河冨は、必ず門の前で星那を待ち続けている。

しかも一時間も前から━━━━

そのせいで、風邪を引いたのだ。



「━━━━━おでこ、貼り換えておこうね」
冷えピタを貼り換える。

「はい」
「………フフ…河冨も、こんな風に貼ってくれたよね?
今日は、逆だね(笑)」

クスクス笑う星那を見ながら思う。

幸せだ━━━━━━━

不謹慎だが、部屋に星那と二人っきりなこの状況を、河冨は噛みしめていた。


ヘッドボードに寄りかかり座った河冨の膝にトレーを置く。
「河冨、食べれる?」

「はい。いただきます。
…………あの…これは、まさかお嬢様が?」

「うん。ごめんね、ちょっと焦げちゃって…」

「いえ!お嬢様のお作りしたお食事を食べられるなんて、光栄です!
お嬢様が作ってくださるお弁当も、いつも噛みしめていただいてますし」

河冨は微笑み、ゆっくり雑炊に口をつけた。

「美味しい…」
微笑み、呟く河冨。

「ほんと?
無理しなくていいんだよ?」

「お嬢様のお気持ちが入ってる気がします。
これ、見てください!」
サイドテーブルに置いているスマホを操作し、星那に見せる。

「河冨…これ…////」
そこには、今までの星那の作った弁当の写真が映っていた。

しかも━━━━写真一つ一つに、コメントまでついていた。

“お嬢様の甘さを表してるかのような、この甘い玉子焼。本当に美味しかった”
“今日のウインナーは、タコ?いや、イカ?
とても、可愛らしい”
等々………

「………」
星那はそれを見て、固まっていた。
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