私の恋人と執事はいつもいがみ合っている
「あ…お嬢様、ご気分を害されましたか?」
窺うように言う、河冨。

「ううん。
害したってゆうか、びっくりしたってゆうか…
なんか、恥ずかしいよぉ…////
こんなの、全然綺麗じゃないし……」

「何をおっしゃって……
お嬢様が、僕のために作ってくれたってことだけで、もう……/////」

「河冨?」
目をパチパチする、星那。

「あ、すみません!」
慌てたように頭を下げる。

「河冨」
「は、はい!」

「横になって?
だいぶ落ち着いたみたいだけど、ゆっくりしてなきゃ!」
「はい、そうですね。
すみません。では横になりますね」

ゆっくり横になる。
そこでやっと、河冨はあることに気づく。
「お嬢様、今日学校は?」

「ん?お休みした」

「え!!?」
ガバッと起き上がる、河冨。

「河冨?ど、どうしたの?」

「僕のために、学校までお休みしてくださったんですか!!?」

「うん。でも大丈夫だよ?
私も、単位はほとんど取ってるし!」

「も、申し訳ありません!!
お嬢様に、そこまでご迷惑をおかけしてしまうなんて……!」
ベッドの上に正座をし、深く頭を下げる。

「河冨!?
もう、いいから!
横になって!」
「は、はい」

「じゃあ、また後で様子見に来るからね!」
河冨を寝かせ、空の食器を持ち部屋を出ていく。

河冨は、天井を見つめながら星那への思いにふけっていた。

本当に、どこまでも愛しい人だ。
可愛くて、優しくて、穏やかで……

ゆっくり目を瞑る。

お嬢様に看病してもらっているだけで、風邪なんか一気に吹っ飛んだ。
とても、心地よくて幸せだ。

「でもまだ、治らないでくれ……」
目を開けて、呟く。

いっそのこと、肺炎でも起こせば……
付きっきりで傍にいてくれるだろうか?

そんなよこしまな考えばかり浮かぶ。

河冨は、頭を横に振り邪心を振り払う。


「……………
………そう言えば、蒼志様がよく受け入れたな…」
またふと思い、呟いた。




「━━━━あれ?姫様は?」

「あ?今日は俺に話しかけるな、大騎」

「こ、怖っ…」
智久もビビっている。

高校ん時の、蒼志みたいだ━━━━━━

大騎と智久が同じように、高校の時の蒼志を思い浮かべていた。



蒼志が、受け入れるわけがなかった━━━━━
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