不器用なあの子は、今日も一宮くんに溺愛されている。
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「──へぇ。吹っ切れた顏してんなぁ。なんだアレか、とうとうフラれたか?律」
「ハハッ。冗談でもやめてよ、縁起でもない。でもその逆だよ、瑠衣。今までの努力、全部報われた」
「……満足そうな顔しやがって。まぁいいわ、後半戦と行きましょうや」
「そうだね。もう瑠衣に認めてもらおうとは思わないことにした。今は――……伊都ちゃんのためだけに戦う」
「ハハッ!相変わらずぬるいこと言ってんなー。まあいいぜ、かかってこいよ」
「次の第3クオーターの10分間を丸々使って遅れを取り戻す。それから最終クオーターで、瑠衣、キミたちを突き離しにかかるよ」
「おーおーおー。また大きな目標を掲げたわけだ!」
「思い出してよ、瑠衣。中学時代、こうして宣言したことが外れたことって……あった?」
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