気づけば、吸血王子の腕の中【上】

懐かしいあの童話が読みたいから、まずは文学のところ。

あ、お花の図鑑も見よう、うーん、あるとしたら「自然」の棚かしら。


これは多分 “楽しい” な気持ち。

そこまで順調だったナターリアは、急に不安になった。

無意識に手が髪を探す。

こんなに読んでも、いいのか、バチは当たらないか。

これだけ自由にさせて、その対価あるいは罰として、またどこかへ飛ばされてしまうのではないか。


ぐるぐると防衛本能が思考を支配し始める。


ナターリアはふるふると首を振る。


こんなに楽しい、ずっと眠っていたやりたかったことが見つかった。

止めて罰を免れるのは、何となく......気が進まない。




─────“嫌だ”

< 73 / 147 >

この作品をシェア

pagetop