新そよ風に乗って 〜夢先案内人〜

斜陽

「久しぶり。何、呑む?」
「取り敢えずビールだな。そっちはどうだ?」
ビールジョッキ片手に先に来ていた仁は、通りかかった店員を掴まえてオーダーをしてくれた。
「これからが、正念場といったところかな」
「年度末決算か?」
「あぁ」
正直、会社の金の流れを理解するのに半年は費やした感があったが、それ以上にまだ自分の力では、会社の金を掴む事は出来ていない。故に、動かす運営方法などの助言が出来るコンサルタント業務に就けるほどの位置も信頼も得られずにいた。思い描いてきた企業人としての社会生活。公認会計士としての手腕を問われる会計士の資格を取得してからの一年目。何らかの成果を見出さなければ、会社第一公認会計士と同じ土俵に上がることは出来ない。減収減益に甘んじている、ここ数年の会社運営方針に一石を投じ、解決策を見出す計画書を作成し、作成しただけでなくその書類内容を議事として、経営者、つまり社長以下、取締役会での承認を得られる程の成果を上げるにはどうしたら良いのかという
「お待たせしました。生ビール大ジョッキです」
「乾杯」
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