ぶっきらぼうなロマンチスト
俺たち付き合わないか、そう言われて頷いた日。彼に抱きしめられて眠った。存在を見せつけるように、跡をたくさん残してくれた。キスをしたとき、涙が溢れた。こんなに面倒な女を無条件に甘やかしてくれる。慰めてもくれる。彼は愛が一方通行でないことを教えてくれた。

「だから桜、離れたくないし、なにがあっても俺が味方でありたい。傍にいたい。結婚してくれ」

そういって差し出されたのは桜の花束だ。勿論桜の幹と、ピンクの薔薇でかわいらしく仕上げたブーケだった。桜は俯いた。ぽたぽたと、アスファルトにシミをつくる。

ー---ずっと願っていた。

また家族ができることを。彼はいつだって私の味方でヒーローだった。
彼と話すたび心の澱がす、と浄化されるように感じた。たまに強引なところもあるけれどいつも私のためだと知っている。

「嬉しい、本当に、ありがとう」

彼が近づいてきて、目尻にキスを落とした。
あの紅葉と桜の様にお互いがお互いの素敵なところを認め合えるようになりたい。



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