月下の逢瀬
『部屋の窓開けて?』


そんなメールが入ったのは、時計の針が一時を差した夜中だった。

眠れずに、ベッドの上でケータイをいじっていたあたしは、慌てて窓際に向かった。

ブルーのカーテンを引くと、窓の向こうに理玖(りく)が立っていた。
窓を開けると、悪戯な笑みを浮かべる。


「今、いい?」


「う、うん。静かにね」


理玖はエアコンの室外機に足をかけ、するりと部屋の中に入った。


「真緒(まお)が、起きててよかった」


言う間もなく、あたしを抱き寄せて、唇を塞ぐ。

ついばむように何度も唇を落とし、それから静かにあたしの中に侵入してくる舌。


「……ん、理玖。待って……」


窓は開いたまま、カーテンも閉じてない。

理玖の口づけを受け入れながらも、かすかにその体を押した。


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