月下の逢瀬
「コーヒーでよかったですか?」
「あ、ありがとう」
テーブルや椅子が整然と並べられた談話スペースには、あたしたち以外誰もいなかった。
紙コップに入った、湯気のあがるコーヒーをテーブルに置き、琴乃ちゃんはあたしの前に座った。
「姉のお友達に会うのって、初めてなんです、私」
テーブルに置いた花束を見つめて、琴乃ちゃんが呟くように言った。
「お友達なんて、いないかと思ってた」
「え?」
鼻をくすぐる香ばしい香りに、少し胸やけがする。
気分が悪くならないように意識を逸らそうとしていたあたしは、言っている意味が掴めずに問い返した。
「ほら、あの人って、彼氏に依存しすぎてるでしょ? べったりくっついて、みっともないったらないですよね」
ピンクの花びらを指先で弾くように弄びながら言う。
「今回なんて、酷い話だと思いませんか? 彼氏がちょっと浮気したら、自殺未遂ですよ。
みっともないったらないわ。学校でも、笑い話になってるんじゃないですか?」
「え……?」
つらつらと表情を変えずに、彼女は何を言ってるの?
「あ、ありがとう」
テーブルや椅子が整然と並べられた談話スペースには、あたしたち以外誰もいなかった。
紙コップに入った、湯気のあがるコーヒーをテーブルに置き、琴乃ちゃんはあたしの前に座った。
「姉のお友達に会うのって、初めてなんです、私」
テーブルに置いた花束を見つめて、琴乃ちゃんが呟くように言った。
「お友達なんて、いないかと思ってた」
「え?」
鼻をくすぐる香ばしい香りに、少し胸やけがする。
気分が悪くならないように意識を逸らそうとしていたあたしは、言っている意味が掴めずに問い返した。
「ほら、あの人って、彼氏に依存しすぎてるでしょ? べったりくっついて、みっともないったらないですよね」
ピンクの花びらを指先で弾くように弄びながら言う。
「今回なんて、酷い話だと思いませんか? 彼氏がちょっと浮気したら、自殺未遂ですよ。
みっともないったらないわ。学校でも、笑い話になってるんじゃないですか?」
「え……?」
つらつらと表情を変えずに、彼女は何を言ってるの?